母親だけ我慢すればいいという問題ではないのが、産後うつという病気です。
子供に対して、自分に対して、夫に対して・・・など、家族関係に悪影響を及ぼす産後うつ。
症状が回復しない場合、病院での治療に踏み切ることも必要です。
専門医の治療を受けるなら、通院しながらゆっくり治療した方がいいのか?それとも入院して集中的に治療した方がいいのか?
子供や家のことを考えると、どちらが良いのか悩みますよね。
産後うつで入院した場合の治療方法と効果は、通院する場合と同じなのでしょうか。
今から、産後うつで入院した場合の治療方法・期間・費用などについて、順を追って紹介します。
産後うつで入院した場合の治療方法
産後うつで入院した場合の治療方法は、医師の診断の下で、
- 専門家によるカウンセリング
- 薬物治療
を行います。
上記は、通院でも可能な治療ですが、ゆっくり入院することで、更に精神の疲労と身体のダメージを緩和することができます。
今から、それぞれ詳しくお伝えしていきますね。
専門家のカウンセリング
専門家によるカウンセリングでは、妊娠・出産・育児・回復による体の変化や、赤ちゃん・自分・子供・夫・親・家族との関係に戸惑う心の迷いなど、ママの声をゆっくり聴いてくれます。
一日一日と成長する赤ちゃんを目の当たりにしながら、育児への理想と現実のギャップ、夫への不満などなど、ママが一人で抱えていたストレスを、カウンセリングを通して、ゆっくり解消してくれます。
思いを口に出して伝えるということはとても大事です。
心の中に溜めておかず、話を聴いてもらうだけでも随分と違います。
投薬治療
うつ病は、幸せホルモンといわれている脳内物質であるセロトニンが出にくくなる病気です。
そのため、脳内物質のセロトニンやノルアドレナリンを活性化する抗うつ剤が用いられます。
また、24時間の育児により正常な睡眠が出来ない状態を戻すために、睡眠薬が処方されます。
母乳を継続したい場合は、主治医にきちんと伝え、母乳に影響の出ない薬物を処方してもらいましょう。
退院したあとも、薬物治療は必要になります、薬物の服用は、必ず処方された指示に従ってください。
精神の疲労と身体のダメージを緩和
産後うつで入院した場合のカウンセリングや投薬治療は、通院している場合と基本的には、ほとんど同じです。
しかし、産後うつは、精神の疲労と身体のダメージを緩和することも非常に大事になります。
なぜ大事なのか、お伝えしますね。
家事・育児・心の負担などからの解放
毎日の家事、24時間続く育児、妊娠・出産・回復による母体の変化で身体はくたくた。
赤ちゃんのこと、自分のこと、夫のこと、親のこと、上の子供のこと、近所のことなど、終わりのない負担で心もへとへと。
そんなママを、全ての負担から解放する目的が入院しての治療です。
規則正しい生活サイクル
入院中は他の科の患者さんと同じように、規則正しい生活で、生活サイクルを正常化することも主な治療目的です。
決まった時間の、起床・朝食・治療・昼食・治療・夕食・就寝により、質の良い深い睡眠を得ることができます。
規則正しい生活スタイルを繰り返し、しっかり睡眠を取ることで、身体のダメージも緩和できます。
治療をするために入院が必要とはいっても、赤ちゃんのお世話ができないと不安になりますよね。
そこで、入院中は赤ちゃんはどうしたら良いのかいくつか案をお伝えします。
ご自身に負担なく、一番合った方法を選んでみてくださいね。
入院中は赤ちゃんをどうする?
産後のママが入院するときに、まず一番最初に考えるのは、赤ちゃんを誰にお願いするかですよね。
乳幼児の預け先の選択肢は色々あります。
入院して治療に専念する為にも、まずは、赤ちゃんの預け先を考えることが大切です。
今からいくつか案をお伝えしますので、あなたの状況に適した預け先を考えてみましょう。
①夫や親に預ける
家族の問題だから、夫や親にお願いするのが良いとは思います。
でも、夫には仕事がありますし、両親も高齢の場合は、なかなか難しいと思います。
乳幼児の世話は、24時間の監視が必要となり、非常に大変なのも事実です。
②赤ちゃんと一緒に入院する
大きな病院では、個室を利用して乳幼児と一緒に入院できたり、赤ちゃんだけ小児科などに一時的に入院させてくれるところもあります。
赤ちゃんが近くにいることは、ママにとっては安心できることですが、病院には様々な入院患者がいます、乳幼児には院内感染が心配です。
それに、赤ちゃんと一緒だと、結局はあまりママは心も身体も休まらず、産後うつの治療にも影響がでることも考えられます。
③各自治体のサービスや施設を利用
各都道府県、市区町村の自治体には、子ども・母親・家庭支援などのサービスや施設があります。
入院などで一時的に養育出来ない状況を、サポートするのが目的です。
子供の年齢や入院期間・夫の仕事の状況を踏まえて、施設やサービスを選択し、組み合わせて利用するのも良いかと思います。
いくつか紹介しますね。
ファミリーサポート
市がファミリーサポートの一環として、親が入院など病気で子供の世話ができないときにサポートをしてくれるボランティアスタッフの方がいます。
夜間も面倒をみてくれるところもあります。
託児所に預ける金額に比べると、少額でサポートしてくれます。
乳児院
生後間もない新生児から、3歳ぐらいまでの乳幼児を、保育士、嘱託医、看護婦、栄養士などの専門スタッフによって養育する施設です。
3歳までなら乳児院、3歳以上なら児童養護施設という選択肢もあります。
施設は、親のいない子供や虐待された子供という暗イメージが強い人も多いでしょう。
ですが、近年では、親の入院や介護など家庭生活で、養育が一時的に困難になった赤ちゃんたちの利用も増えています。
~実際に乳児院を利用したママの声~
普通の家庭といえる我が家ですが、自分に2か月の入院が必要となり、幼児2人の世話と家事を夫一人にまかせるのは、負担が大きすぎると判断しました。
乳児院にいる間の服など必要なものは全て整っていたので、家からの持ち出しはありませんでした。
乳児院で、こまめに取ってくれたスナップ写真や保育日誌は、入院していた私の支えとなり、治療にも専念できました。
休前日には夫が迎えに行き、週末は家で過ごし、平日のみの利用をしていました。
料金は保育園と同じ程度でした。
友人からの紹介でしたが、本当に感謝しています。
子供トワイライトステイ(夜間保育)·ショートステイ(宿泊保育)
保護者が、病気や出産で入院や療養したり、家族の介護などで一時的に養育が出来なくなったときに利用できます。
詳細は、各自治体の福祉・子供家庭支援センターなどに問い合わせてください。
参考までに、東京都内の3つの自治体の状況を紹介しますね。
【練馬区】
トワイライトステイ(夜間一時保育)
年 齢 満2歳から12歳(小学生)まで
保育時間 午後5時‐午後10時
利用期間 1ヵ月以内
費 用 1回 2000円
送 迎 施設と保育園など一回に1060円(片道)が別途必要です。
【台東区】
ショートステイ(宿泊保育)
年 齢 満2歳から12歳(小学生)まで
利用限度 1ヵ月に7日(6泊7日)
費 用 1泊2日 6000円 以後1泊ごとに3000円が加算されます。
送 迎 施設と保育園など一回に500円(片道)が別途必要です。
内 容 食事·入浴·学習の援助·遊びの指導·身の回りの世話など。
【町田市】
ショートステイ(宿泊保育)
年 齢 満2歳‐12歳(小学生)まで
保育時間 午後4時‐翌朝9時まで
利用日数 1回7泊(7泊8日)まで利用可能です。
費 用 ショートステイ 1泊2日 4000円
トワイライトステイ(夜間保育)
年 齢 満2歳‐12歳(小学生)まで
保育時間 午後10時まで
利用日数 1年間30日までの利用が可能
費 用 10時間超 4000円
10時間以内 3000円
8時間以内 2000円
4時間以内 1000円
内 容 保護者の帰宅が遅くなるときに、食事·入浴·身の回りの世話など。
民間のサービスを利用する
24時間体制の託児所、ベビーシッターなどを他のサービスと併用するのも良いかと思います。
調べると色々あると思いますので、探してみてくださいね。
産後うつの入院期間はどのくらい?
症状が軽い·初期の場合は、10日ほどの入院生活、症状が重い場合は1年以上入院が続くこともあります。
責任感が強いママであれば、なおさら入院を躊躇してしまうとは思います。
ですが、症状が重くなると、自殺や育児放棄をしてしまうこともあるため、入院はとても大切なことです。
ママが倒れることだけは避けたいですね。
うつで辛くて限界という場合、入院という選択もあるということを覚えておいてください。
入院費用はどのくらい?
入院となると、心配なのは、入院費用ですね。
もしも長期入院になったら、どのくらいの金額になるのか不安になりますよね。
病院で医師の診断を受けるうつ病の治療には保険が適用されます。
(個室や食事代などは保険適用外)
負担額は3割です。
治療費が一定金額を超えた場合、高額療養費制度によって過剰支払い分の返還をうけることもできます。
今から、入院費用について紹介しますね。
実際に支払う入院費用
入院費は、基本的に治療費、差額ベッド、食費などです。
個室と大部屋によっては、差額ベッド代も違ってきます。
色々な経験談から、入院費は1日10000円~15000円程度がほとんどだと思います。
月では、30~45万円ほどになると思われます。
そして、一般的には3割負担ですので、1ヵ月約10~15万円を実際に支払う金額と考えれば良いと思います。
病院によっては、部屋代が大きく異なるので、詳細な入院費用は入院する前に、病院で確認することをおすすめします。
高額療養費制度を利用
国民健康保険・社会保険に加入している人は、高額療養費制度の対象者です。
病院で支払う医療費に、所得に応じて一人一人に限度額をもうけています。
1ヵ月の医療費が高額になった際、自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。
(入院時の食事や差額ベッド代などは含みません。)
高額療養費制度によって、役所から「支払い過ぎの額を還付します」との通知がきて、自己負担限度額を超えて支払った額が戻ってくることがあります。
高額療養費制度は、事前の手続きにより、病院に支払う時点で一定の限度額を超さないで済ますこともできます。
国保の場合、あらかじめ役所で、「限度額認定証」を発行してもらいます。
この限度額認定証とは、所得(支払った住民税)に応じて、一人ひとり支払う医療費に限度額がもうけられ、自己負担限度額を超える医療費については支払う必要がなくなります。
高額療養費制度の「限度額認定証」の発行は、加入している健康保険によって、申請する場所や方法が以下のとおり異なります。
国民健康保険の場合
各市町村の担当窓口で申請、即日交付。
社会保険(協会けんぽ)の場合
社会保険協会に申請書を郵送、1週間ぐらい自宅に認定証が郵送される。
社会保険(健康保険組合等)の場合
加入している組合に相談してみてください。
医療保険を利用
医療保険に加入していた方は、産後うつで入院した際にも、入院給付金を受け取れます。
退院後、医師に各保険会社に入院したことの証明となる診断書を作成していただき、保険会社に提出すると、後日、保険金がもらえますので、入院費を抑えることができます。
まとめ
いかがでしたか?
入院期間や入院費用などの、不安は解消できましたか?
ママが入院治療で一番心配するのは、赤ちゃんや子供の預け先ではないかと思います。
全国の自治体には、様々なサービスがあり、ママをサポートしてくれます。
夫婦で相談して、ママが安心して入院できるような、子供の預け先を見つけましょう。
ママが安心して治療に専念すれば、治療効果も高く、早く退院できるはずです。
入院をきっかけにして、産後うつをリセットしましょう!
★産後うつについては、以下の記事も書いています。こちらも参考にしてみてください。
産後うつの症状や発症する時期は?原因は母乳育児?夫?ホルモンバランス?
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